平成16年台風16.18.21号災害について

 
5.まとめ
 5.1.気象状況
 (1)台風第16号に伴う8月28日から30日にかけての気象状況
  台風16号は、30 日09 時半頃に串木野市付近へ上陸した。
  ○暴風の状況。
宮崎県での最大瞬間風速は、油津で,30 日10 時47 分に,
1950 年からの統計開始以来第1 位となる55.8 メートルを観測した。
  ○大雨の状況。
27 日20 時の降り始めから30 日23時までの総降水量は、
えびの市えびの821mm、南郷村神門756mm、  
都城市菖蒲原543mm、五ヶ瀬町鞍岡527mm、
諸塚526mm、日南市深瀬446mmの大雨となった。
 (2)台風第18号に伴う9月6日から7日にかけての気象状況
  台風第18号は、7日9時半頃長崎市付近に上陸した。
  ○強風の状況は、
  延岡で南の風45.0m/s の最大瞬間風速を観測した。
  宮崎と油津でも40m/s 以上の最大瞬間風速を観測した。
  なお、延岡の最大瞬間風速45.0m/sは3位の記録となった。
  ○大雨の状況。
  4日の降り始めから7日23 時までの総降水量は、
  諸塚905 mm、南郷村神門573mm、西米良549mm、
  日之影町見立537mm、高千穂502mm
  など山沿いを中心に大雨となった。
 (3)台風第21号に伴う9月28日から29日にかけての気象状況
  台風第21号は,29 日8時半頃鹿児島県串木野市付近に上陸した。
  ○強風の状況。
  宮崎県では、9 時38 分に、
  日南市油津では,43.1m/s、の最大瞬間風速を観測した。
  ○大雨の状況。
  28日の降始めから29日24時までの総降水量は、
  諸塚278mm、日之影町見立254 mm、北郷村中小屋211mm、南郷村神門206mm
  など北部山沿いを中心に総降水量が200 mmを超える大雨となった。
 (4)日降雨量のまとめ
  16号での日降雨量は、
神門で584mm、えびので531mm、諸塚で372mm、上椎葉で369mmであった。
  18号での日降雨量は、
  神門で181mm、えびので301mm、諸塚で291mm、上椎葉で241mmであった。
  21号での日降雨量は、
  神門で165mm、えびので176mm、諸塚で242mm、上椎葉で140mmであった。
  また、8月〜9月の総降雨量は、
  神門で2473mm、えびので1876mm、諸塚で2483mm、上椎葉で1667mmとなった。
  これらはいずれも、全国の平均雨量をはるかに超えるものである。
  日降雨量の経過一覧表を表−5.1に示す。
       表−5.1.日降雨量の経過一覧表(単位はmm)
       

神門

えびの

鞍岡

諸塚

上椎葉

高千穂

8月29日

 137

 141

 144

 141

 171

  24

8月30日

 584

 531

 374

 372

 369

 317

8月合計

1450

1119

 743

 967

 816

 589

9月6日

 175

  83

 188

 358

 149

 183

9月7日

 181

 301

 214

 291

 241

 169

9月28日

  41

  13

   9

  36

  13

  11

9月29日

 165

 176

 136

 242

 140

 173

9月合計

1023

 767

 912

1516

 851

1190

総合計
 

2473
 

1886
 

1655
 

2483
 

1667
 

1779
 
 
 5.2.被害地域の地形・地質の特徴
 宮崎県の中央西部地域、九州山地の中央部地域に位置する、南郷村と椎葉村を中心に2400mmを超える降雨があった。
 この地域の地形は、九州山地の中央部となっているように、地形の特徴は壮年期の非常に急峻な山地形を形成している。
 また、この地域の地質は、おもに、付加体として知られる四万十層群が分布している。
特に南郷村地域は、付加された四万十層群のなかでも特に「めらんじゅ」(混在層)で有名な 「神門層」の模式地になっている程の地域である。
なお、「神門層」の北側境界は「延岡構造線(衝上断層)」となってる。
すなわち、もまれていることが予想されるということである。
 この地域での、崩壊パターンは「流れ盤」と「受け盤」の崩壊個所数がほぼ半々という特徴が知られている。 (参考文献めらんじゅ9号)
 今回の災害は、上記のように、脆弱な最も地質条件の悪い地域に、
日総雨量400mmを超え、2ヶ月で2400mmを超える雨量が集中したことが誘因である。

 5.3.被害状況
 現在、まだ調査段階となっているが、宮崎県の災害被害総額636億円、 このうち土木施設関連では267億円の被害が発生してる。(10月13日現在)。
被害状況把握の推移(宮崎日々新聞による)を表−5.2に示す。
       表−5.2.被害状況把握の推移(宮崎日々新聞による)
     

 月日

総額

土木施設

 通行止め

 備 考

8月30日

 

 

 

台風16号上陸

9月1日

30(農)

 

全面100〜44

椎葉村3ヶ所で寸断

9月2日

 

 

 

高岡町災害救助法

9月4日

185億円

 66億円

 

被災723ヶ所

9月7日

340億円

145億円

全面63片側15

台風18号上陸

9月08日

 

 

全面51

 

9月09日

 

 

全面40

 

9月10日

428億円

186億円

 

被災1364ヶ所

9月14日

498億円

197億円

 

 

9月29日

 

 

 

台風21号上陸

10月13日
 

636億円
 

267億円
 


 


 

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