29年災害速報

2.日南海岸2017災害



写真−15.腐植層とアカホヤ層のアップ

腐植層とアカホヤ層のアップ
上位の腐植層と下位にあるアカホヤ層のアップです。
日南海岸を構成する宮崎層群分布地域で、アカホヤを観察できることは珍しく、
私が歩いた宮崎層群の縦走路では、分布が見られたのは傾斜の緩い地すべり地で、
非地すべり地では見るのは難しいです。
撮影場所:堀切トンネル北側、撮影日;2017/12/27



写真−14.崩土中のアカホヤ層と腐植層

崩壊地左側壁に見られる崩土中の腐植層とアカホヤ層です。
断面の中位に見られるアカホヤは、7300年前にはこの位置が地表面であったことを意味し、
その後、この腐植層が形成されたと考えられます。
腐植層上には層厚約1.5mの崩土が載っていますが、
この崩土は、アカホヤ堆積の後、植生が回復し腐植層が形成された後に崩壊があったことを物語っています。
したがって、腐植層の存在は、一定の時間、安定した地表面であったことを意味しています。
撮影場所:堀切トンネル北側、撮影日:2017/12/27



写真−13.崩土と腐植層

日南海岸で発生する崩壊地の側面には、写真のように、崩土中に挟まった腐植層が見られます。
この腐植層は植生起源のため、ここが地表面であったことの証(あかし)となります。
また腐植層の上に堆積した崩土は、植生が生育して,一定時間の経過の後に堆積したと考えられます。
撮影場所:堀切トンネル北側



写真−12.瀬平崎(サボテン公園)崩壊地の見取り図

現地で実際に見えるのは、砂岩塊の混じった崩土と、正面の砂岩泥岩層からなる滑落崖だけです。
滑落崖の傾斜は海側なので、一見すると「岩盤すべり」のように見えますが、
岩盤の傾斜より急で、滑落崖と砂岩泥岩層の傾斜の関係は、図のようになっています。


写真−11.瀬平崎(サボテン公園)崩壊地の滑落崖

滑落崖は二層になっていて、表層から約10mは粘土混じりの砂岩角礫層で、二層目は砂岩泥岩互層です。
この互層は薄層で10〜30cm、泥岩の方が厚い傾向が認められました。
全体的に黒色なのは泥岩層が多いためです。
滑落崖の傾斜は30〜35度ですが、砂岩泥岩互層の傾斜が10〜15度なので、
崖の傾斜と地層の傾斜は斜交していると言えます。


写真−10.サボテン公園跡(瀬平崎)の崩壊場所

瀬平崎の崩壊場所です。モルタル吹付工が施工されていた場所は、砂岩が露出していた場所です。
崩壊した場所には、サボテンが植栽されていましたが、 その後、公園が閉鎖されたため放置され自然状態で雑草と樹木が育っていました。
道路に面した所に湧水があり、エンビパイプが埋め込んでありましたので、 この湧水を月1回採水して、原子吸光で分析していました。
結果はナトリウムが高濃度であったことを憶えています。
ナトリウムが高濃度なのは、目の前が海なので、潮風にのって海水成分が植物に付き、 それが地下水となり出てくるのだろうと考えていました。
その他の成分についてはアイディアが無く、サボテン公園の地下水の研究はやめてしまいました。
この時知ったことは、分析方法だけ知っても論文は書けないことでした。 当たり前なんですけどね(^-^)。
映像は、2005年にサボテン公園南側でおこった地すべりの時に、日本工営が撮影したものです。


写真−9.今回の(旧サボテン公園)崩壊場所はここです

今回崩壊が起こった場所は、日南海岸の瀬平崎の先端部分です(矢印)。
左側に見える左上がりの崩壊地は2005年に発生した砂岩層です。
地層は宮崎層群で、走向はほぼ南北で、傾斜は東側へ約10度です。
この写真は南から北向きに撮っているので、右側が東側になります。
したがってこの映像は、断面をみていることとなっています。


写真−8.日南海岸(旧サボテン公園)の崩壊

十月末に発生した日南海岸の斜面崩壊は、小規模なものも含めると10ヶ所近くになりますが、
旧サボテン公園で発生した崩壊は道路を完全に埋め,崩土の一部は海中に流れ込んでいます。
崩壊範囲は黄色で囲った範囲です。
ベースの写真は「宮崎の釣り」という、釣りのポイントを紹介した本からの借用ですが、
撮影は、まだサボテン公園が営業している頃のものです。
写真下側には、宮崎層群の砂岩層が見えます。


写真−7.観音崎(220号線)の崩壊

最上部には厚い砂岩層があることが想定され、 この砂岩層の崩壊が全体の崩壊のきっかけになったと考えていましたが、
最上部の砂岩層は壊れていませんでした。
砂岩層の下位は写真のように,洞窟状になっていました。
崩壊はその下位に堆積した崖錐状の堆積物から発生しているとみられます。
撮影日:2017/12/17


写真−6.日南海岸の崩壊地巡検に行ってきました-2

堀切峠トンネル北側の岩盤崩壊地です。
ここは下位から砂岩層、礫混じり粘土層、黒色表土層、その上位に崩土層が分布しています。
一般に、岩盤と上位の風化層との関係は、「漸移している」と説明されていますが、
日南海岸で見られる岩盤崩壊地では、岩盤と風化層との関係は「急変」です。
撮影日:2017/12/17


写真−5.日南海岸の崩壊地巡検に行ってきました

きょうの日曜日は冬晴れでしたが、少々風が冷たかったです。
目的地は十月末に発生した日南海岸での崩壊地ですが、最初は堀切峠手前のトンネル北側の崩壊地でした。
ここは流れ盤の岩盤が露出し、側面にはアカホヤの分布も見られました。
二番目は伊比井でこの崩壊地は上部に厚い砂岩層が見られました。
三番目はサンメッセの手前です。
ここの規模は長さは斜距離で約184m、幅は約85m、ここも、最上部には厚い砂岩層が見られました。
帰りに旧サボテン園に寄りましたが、瀬平崎の先端部が大崩壊していて、
素人目にはしばらくは復旧できないのでは無いかと思えるほどの規模でした。
トンネル化が進んでいる日南海岸ですが、まだまだ油断はできないようです。
撮影日:2017/12/17


写真−4.観音崎崩壊のアップ

崩壊地の源頭部には層厚砂岩層が分布しています。
砂岩層がドーンと落ちて、そのショックで斜面下位の崩壊が起こったと考えました。
源頭部は常緑広葉樹で、下位はスギの植林地でした。木がはえていても「山は崩れる」いい例です。
撮影日:2017/12/10


写真−3.観音崎(日南海岸)の崩壊

10月29日の豪雨で日南海岸の220号線で崩壊が発生しました。
場所は観音崎の少し手前です。
写真中では左端に灰色の部分が見えていますが、これが観音崎のカーブです。
観音崎では厚い砂岩層が見えていますが、
これが1992年3月18日に、約5mの岩塊となって道路に落下したことがあります。
今回の崩壊の頂部はこの砂岩層からの延長部にあたります。
なお、当日の雨量は下記のとうりです(気象月報による)。
28日宮崎市288油津237
29日宮崎市53 油津199
単位:mm
撮影日:2017/12/10


写真−2.日南海岸宮浦の崩壊

6月20日から21日にかけての大雨で、日南海岸の宮浦で斜面崩壊がありました。
現場は宮崎市と日南市を結ぶ重要な路線なので、5日ほどで片側交互通行になっています。
崩壊は高さ約100m幅100mとのことです。斜面は工事が進み、一部に宮崎層群の砂岩泥岩互層が見えています。
この辺りには厚い砂岩がある場合が多いのですが、ここはそうでもなさそうです。
日南海岸はトンネル化が進んでいるために、崩壊は少なくなり、今回は約24年ぶりです。
ちなみに前回はこの近くで起こっています。
原因としては、日南海岸は全体的にモルタル吹付工が多いのですが、これの劣化だと思います。
撮影日:2017/7/16


写真−1.日南海岸宮浦地区の崩壊

日南海岸宮浦地区で斜面崩壊が起こりました。
日南海岸では昔は、数年間隔で斜面崩壊が起こっていたので、それほど珍しくなかったのですが、
今回の崩壊は11年ぶりです。
日南海岸全体の傾向から言えば、宮崎市側は少なくなり、日南市側に多くなっています。
これは宮崎市側からトンネル化が進んでいるためでしょう。
映像:宮崎日日新聞2017/6/22



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