シュードタキライト見学記


 シュードタキライトのことを知ったのは地質学雑誌と一緒に送られてくるnewsの表紙を
を見たときであった。写真には薄い砂岩層と思われる地層の上に、見学者らしい若い人が
写っている。「これはどこかで見たことがある」と思った。すぐに記事を読んでみると、
やはり延岡の東海半島であった。ここは何回も行っているので見覚えがあった。レポート
を書いたのは東大の院生で、記事によるとIODPのワークショップがあり、「世界から集ま
った研究者に延岡衝上断層を地質学的な側面から紹介しようとする試みである」とのこと
であった。

写真−1.延岡衝上断層の副断層付近の全景。
(シュードタキライトが見られる崖)


 現地見学には80名もの参加者があったらしいが、宮崎からは誰か参加したのかなと思い
ながら、記事を読んでみた。しかしレポートには現地の地図は無く、詳しい場所の記載も
なかった。このため足立先生なら知っているだろうと、メールを出すと素早いレスがあり
「行ったことがある」とのことである。さっそく「連れて行ってほしい」と、いつものお
ねだりをしてオッケーをもらい、あとは日程の調整をしてゴーとなった。



写真−2.延岡衝上断層付近の全景・東海海岸


 当日は足立先生宅に集合したあと東海半島に走り、いつもの場所で海岸に降りて延岡北
帯と南帯の説明を受けた。その後現地に向かったが、現地は海岸に降りないといけないの
だが、道は釣り人用の道で、急な坂道をロープ伝いである。降りたところは北川層が北側
に傾斜している岩盤上をしばらく歩くと、もめた神門層になる。ここで少し休憩、足立先
生が送ってもらったという英文のガイドを読みながら場所を探す。「少しバックしてみま
しょう」と北川層の部分に立ち、記事の写真を見ながら「ここです」とのことであった。
見ると記事の写真と同じ場所が目の前にあった。



写真−3.シュードタキライトのアップ。(斜めのライン)


 足立先生が砂岩の棚になった部分を登り、しばらくすると「これですよ」と指さしてく
れた。シュードタキライトの層厚は1センチ位で場所によっては2,3センチの所もある。
少しズレもあり地すべりをかじっている筆者としては、岩盤が露出した後に岩体がズレた
と説明しそうな岩層であった。シュードタキライトの岩質は硬く、それと知らなかったら
砂岩頁岩の間に入った石英脈として見逃しそうな層であった。ところどころ上位の頁岩か
ら染みだしたと思われる鉄分によって赤染されている。

写真−4.シュードタキライト露頭。




 周りをみると岩壁には丸い円を描いたカッターの跡があった。エンジン付きのカッター
を運びおろすには、かなりの体力を要する場所である。ふと先月号のNewsに、ある有名な
堆積岩の露頭でコアーで抜いた写真が発表され、地質学者の倫理に警鐘を鳴らした記事が
あったが、研究のためには後輩がここを見学するということを考えない時代なのかと思う。
もちろん東海半島は国立公園でもないし規制された場所でもないが、なにか珍しいものを
発見した時、嬉しくなって発表してしまうのは問題だなと思う。なおよく見るともう一カ
所カッターの跡があった。岩石の表面が変色していたからカットしてからかなり時間がた
っていると思う。採取物は岩石ハンマーで採れるもの以上は採らない、自分で運べる以上
は採らなかったが、そんな時代はトーの昔に終わっているのだと思った。



 ところでシュードタキライトってなに?
 見学の後、シュードタキライトって何かと調べてみると、インターネットにたくさん出
ていました。一言で言えば「地震の化石」ということで、地下深いところで岩石が摩擦に
よって発熱して、新しい鉱物シュードタキライトができるというメカニズムらしいです。
インターネットではたくさんの岩石写真があるので見てください。たくさんあるのでお薦
めを選ぶのが難しいです。足立先生が送ってもらった巡検ガイドには、EPMAやX線回
析のデータが公表されていましたが、X線回折図を見ると雲母のピークも見えたので、粘
土をやっている筆者には少し身近に感じました。(以上)



写真−5.延岡衝上断層の全景(上盤=北川層、下盤=神門層)



写真−6.延岡衝上断層露頭の全景(左側=北川層、右側=神門層)


写真−7.延岡衝上断層露頭(奥=北川層、手前=神門層)



写真−8.延岡衝上断層の断層コア部分


写真−9.下盤神門層のせん断質頁岩層


写真−10.下盤神門層のせん断質頁岩層




戻る inserted by FC2 system